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今週の総評: 停戦 MOU と AI サーバー +757% が同日に交差した週(SPX 9 週連続プラス、BTC は ETF 9 日連続流出)

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停戦 MOU と Dell の AI サーバー +757% が同日に交差した週の総評。エネルギーから AI への資金再配分と「動けない FRB・孤立する日銀」の 2 本の横串で、SPX 9 週連続プラスから来週 NFP までを俯瞰する。

Live Chart

この号で取り上げた銘柄

ほか 3 銘柄(HG, BTC, ETH)はタブ表示を省略しています。

今週の構造

週前半(5/26〜27)の米軍イラン空爆報道で一度リスクオフが走った後、5/28(木)に局面が反転した。同じ引け後に 2 つのニュースが出た。

5/28 引け後: 米・イラン停戦 MOU 報道 + Dell Q1 FY27 で AI サーバー売上 前年比 +757%・受注残 $51.3B逆方向の 2 材料が同日に交差
WTI が週次 −12.5% に向けて急落 / 週次で XLE −5.38%・XLK +5.89%エネルギー ETF とテクノロジー ETF が逆方向のパフォーマンス
5 日純フロー: XLE −$214.67M / XLK +$186.01M(ETFdb.com 参考値)相関: 同日に 2 材料が重なった相関であり、日次の同時フローデータは取得できていないため因果断定はできないが、セクター資金の方向が実際に逆転していたことは確認できる
S&P500 は 9 週連続プラス(2023 年以来最長タイ)/ 日経 225 は週次 +4.73%米 AI 相場の直輸入に原油安が重なり大幅上昇

もう一本の横串は「動けない FRB と孤立する日銀」だ。FOMC 議事録(4/28〜29 分)では反対票 4 名(1992 年以来 34 年ぶり最多)が記録され、うちタカ派 3 名は「緩和バイアス削除」を要求した。

PCE コア(4 月)前年比 +3.3% で粘着 / 東京都区部 CPI コアコア(5 月)+1.6% と 6 カ月連続鈍化Fed は利下げに動けず、日銀は利上げを先送りする
日米金利差が温存 → USD/JPY を 159 円台に固定円安の共通フロアが形成
BTC 現物 ETF: 5/15〜5/28 の 9 取引日連続で $2.8B 流出(設定来最長)この共通フロアの上で流出が積み上がった
2026-W22 主要アセット週次スナップショット: SPX +1.43%、Nasdaq 100 +2.88%、日経 +4.73%、USD/JPY 159.27、WTI −12.5%、金 +0.5%、BTC −4.4%
主要アセット週次スナップショット(2026-W22、5/29 終値ベース)。赤=WTI −12.5%、緑=株式(SPX +1.43% / NDX +2.88%)が今週の資金移動の方向を表す。
アセット代表指標終値(5/29)週次 %月次 %
株式(米)S&P 5007,580.06+1.43%+5.15%
株式(米)Nasdaq 10030,333.18+2.88%+10.49%
株式(日)日経 22566,329.50+4.73%+11.88%
為替USD/JPY159.27+0.05%+0.32%
為替EUR/USD1.1660+0.49%−0.61%
商品WTI 原油($/bbl)87.76−12.5%−16.47%
商品金($/oz)4,541+0.5%−1.76%
商品銅($/lb)6.37+7.41%
暗号BTC73,729−4.4%+3.2%
暗号ETH2,019−3.9%
マクロ米 PCE コア(前年比)+3.3%
マクロ東京 CPI コアコア(前年比)+1.6%

今週のマクロ: 動けない FRB と孤立する日銀

今週は米国と日本のインフレが同時に出た。米 PCE コア(4 月)は前年比 +3.3%(3 月比 +0.3pt 加速、ヘッドラインは +3.8% で 3 年ぶり高水準)。一方の東京都区部 CPI コアコア(5 月)は +1.6%(予想 +1.9% を大幅下振れ、6 カ月連続鈍化で 2022 年 3 月以来の低水準)。方向が正反対のこの 2 つの数字が、日米の中銀をまったく逆の場所に固定した。Fed は 3% 超で粘着するインフレに利下げできず、日銀は鈍化が続くインフレに利上げを急げない。日米金利差が温存され、USD/JPY 159.27 の円安が続く構造はここから来ている。

米 PCE コア +3.3%(前年比)— 年率水準の高止まり継続
米 PCE コア +3.3%(前年比)— 年率水準の高止まり継続(2026-05-28、BEA)。
東京 CPI コアコア +1.6%(前年比)— 6 カ月連続鈍化
東京 CPI コアコア +1.6%(前年比)— 6 カ月連続鈍化(2026-05-29、総務省統計局)。

さらに FOMC 議事録(4/28〜29 分、5/20 公開)は反対票 4 名(1992 年以来 34 年ぶり最多)を記録した。内訳はミラン 1 名が 0.25% 利下げを要求、ハマック他 3 名が声明文の「緩和バイアス削除」を要求という正反対の反発が同時に発生している。現状維持の多数派 8 名は「利下げにも利上げ方向の明示にもどちらにも動けない」状態だ。スタッフは 2026 年 PCE 総合見通しを 3.5% に上方修正し「双方向リスクの高まり」を明示した。

中銀政策金利反対票次回会合市場予想
FRB3.50〜3.75%4 票(1992 年以来最多)6/16〜17据え置き 99.9%(CME FedWatch)
日銀0.75%3 名が 1.0% 利上げ要求6/15〜16据え置き優勢、7 月以降利上げ
ECB預金 2.00% / 主要 2.15%なし(4/30 満場一致)6/10〜11+25bp 利上げ有力

FRB が政策麻痺に陥り、日銀がハト派に孤立する中で、ユーロ圏 4 月 CPI 総合 +3.0%(2023 年 9 月以来高水準、エネルギー +10.8%)を背景に ECB だけが「利上げに踏み出せる中銀」になった。5/22 に就任したウォーシュ新 FRB 議長(第 17 代、量的緩和に懐疑的なタカ派寄り)が初回 FOMC(6/16〜17)で声明文の「緩和バイアス」削除・SEP のインフレ上方修正・ドットプロットの利下げ回数後退をどう扱うかが、7 月以降の全アセットの方向性を決める分岐点になる。

アセット別ハイライト

株式: Dell +42.6% と SOX +5.14% が示した「AI 実績化」

S&P500 が 9 週連続プラスで 2023 年以来最長ウィニングストリークに並んだ週、主役は Dell だった

  • Dell は Q1 FY27 で AI サーバー売上 $16.1B(前年比 +757%)・受注残 $51.3B(過去最高)を計上し、通年ガイダンスを $27B 引き上げた
  • 翌 5/29 に株価は +42.6%($295.19 → $420.91)で急騰し、SOX +5.14%・XLK +5.89% を牽引した
  • Nasdaq100 の年初来 +42.1% と S&P500 の +10.7% の乖離は Mag7 集中の証左で、上昇の実態は Mag7 主導、値上がり銘柄の広がり(市場全体への波及)は限定的だ

詳細は 株式ウィークリー へ。

為替: USD/JPY が介入 11.7 兆円で 91 銭幅に押し込まれた

USD/JPY は介入の上値と日米金利差の下値に挟まれ、91 銭幅に膠着した

  • USD/JPY は週次わずか +0.05% で 159.27 引け。週レンジは 158.76〜159.67 の 91 銭幅
  • 5/29 に財務省が公表した 4/28〜5/27 の円買い介入額は 11 兆 7,349 億円で、160 円台への上抜けを阻む上値の鉛として機能し続けている
  • 下値は日米金利差(FF 上限 3.75% vs 日銀 0.75%)が床を支える構造だ
  • EUR/USD は ECB 6 月利上げ期待(+25bp 有力)が下支えし +0.49%

詳細は 為替ウィークリー へ。

コモディティ: ホルムズ・プレミアムが 5 営業日で半解凍

WTI は週次 −12.5%($87.76)、月間では −16.47% と 2020 年 4 月以来最大の下落幅だ

  • 停戦 MOU は Trump 未承認・イラン側「最終合意でない」で完全解消には至っておらず、「半解凍」にとどまる
  • 剥落幅の実測は前週 WTI $100 前後から週末 $87〜88 への $12〜13 で、これが今週下落の主体だ
  • J.P.Morgan は 2 月中旬の軍事行動織り込み開始時点で「Brent に +$10/bbl のプレミアム」と推計しており、5 月の急落はそのプレミアムが段階的に剥落した過程と整合する。ただし需給要因との精確な分離は公式推計が存在せず、「剥落が主因」は複数ソースの定性評価に依拠している
  • EIA 在庫(Cushing −2.794 mbbl、2023 年 8 月以来最大の週次取り崩し)が示す通り国内実需は引き締まり継続で、剥落なければ価格は維持されていた構造だ
  • 銅(月次 +7.41%)・銀(YoY +128.39%)が AI・脱炭素需要で原油と逆走した。6/7 OPEC+ 第 41 回閣僚会議(7 月産量決定)は WTI が $80 台に定着するか $90 台へ回帰するかの分岐点になる

詳細は コモディティウィークリー へ。

仮想通貨: BTC ETF が設定来最長 9 取引日連続流出

今週 BTC は「有事のゴールド」ではなく「リスク資産」として売られた

  • BTC は週中高値 $78,104 から週安値 $72,520 まで最大 −7.1% 急落し、週引けは $73,729(週次 −4.4%)
  • 現物 BTC ETF が 5/15〜5/28 に 9 取引日連続で累計 $2.8B 流出(2024 年 1 月設定来最長更新)。5/27 単日では IBIT 単独 −$527.84M(設定来 2 番目の規模)を記録した
  • 一方で CLARITY Act 上院銀行委員会通過(5/14、15-9)と BlackRock ETHB 始動により BNB +5.2%・XRP +1.4% が BTC をアウトパフォームし、規制テーマによる銘柄分岐が鮮明化した

詳細は 仮想通貨ウィークリー へ。

来週 W23 の最重要イベント

6/5 NFP を起点に、ECB(6/10〜11)・日銀(6/15〜16)・FOMC(6/16〜17)が相次いで政策を示す 2 週間になる。

来週 W23 最重要イベントカレンダー: 6/1 ISM PMI・HPE、6/2 ユーロ圏 CPI、6/3 Broadcom 決算・植田講演、6/5 NFP、6/7 OPEC+
来週 W23(6/1〜6/7)最重要イベントカレンダー。赤●が高重要度。NFP(6/5 金)と OPEC+(6/7 日)が週末の方向決定点になる。
日付イベント含意
6/1(月)米 ISM 製造業 PMI(予想 53.0)+ HPE 決算AI ネットワーク需要の継続確認
6/2(火)ユーロ圏 5 月 CPI フラッシュ(コア予想 +2.4%)ECB 6/10〜11 利上げ判断の前哨戦
6/3(水)Broadcom 決算(AI チップ売上目標 $10.7B)+ 植田日銀総裁講演SOX の方向と円相場を同時に左右する
6/5(金)米 5 月 NFP(予想 +102〜125K)、失業率 4.4%週最重要。全アセットの方向を決める
6/7(日)OPEC+ 第 41 回閣僚会議(7 月産量決定)WTI $80 台定着か $90 台回帰かの分岐点
6/10〜11ECB 政策理事会(+25bp 利上げ有力)EUR/USD 大幅動意リスク
6/15〜16日銀 金融政策決定会合据え置き優勢。実施なら円高急騰
6/16〜17FOMC(ウォーシュ新議長初回、SEP・ドットプロット)緩和バイアス削除の有無が今年後半の経路を決める

NFP(6/5)の 3 シナリオ

今週最重要の米 5 月雇用統計(予想 +102〜125K、失業率 4.4%、6/3 ADP で見通しが収束する見込み)は、結果次第で全アセットの方向を決める。4 月実績は +115K(予想 +55K を大幅に上回る強い数字)だった。

シナリオ条件株・金利・為替への含意
強い+150K 超 / 失業率 4.2% 以下「利上げ方向」への市場の読み直しが強まり、米 10 年債が 4.45% から 4.6% 以上へ上昇、ドル高、USD/JPY が 160 円接近で介入第 2 弾観測が浮上。BTC ETF 流出が継続。ウォーシュ FOMC での緩和バイアス削除の可能性が一段高まる
中央+100〜130K / 4.4% 維持「想定内」でレンジ継続。ウォーシュ初 FOMC を前に余計なリスクを取らない動き。米 10 年債は 4.3〜4.5% に収まる
弱い+100K 大幅割れ / 4.4% 超「労働市場の冷却が始まった」として利上げシナリオが急後退。米 10 年債が 4.30% 台へ低下し、ドル安、全アセットが反転。BTC はリスクオン転換のトリガーになりうる

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