ドル円: 上は162介入、下は弱NFPで非対称な高止まり週(2026-W27)
USD/JPY 161.76 で W26 終了。上は市場が意識する162円帯・下は弱NFP、損益比1:9.6の非対称な高止まり週。来週の上値警戒と円キャリーの分岐を主要キーレベルとともに読む。
この号で取り上げた銘柄
ほか 2 銘柄(USDSEK, USDCAD)はタブ表示を省略しています。
USD/JPY は 6/26 終値 161.76(Investing.com 確定値)で W26 を締めた。市場が介入警戒で意識しやすい 162.00 まで +0.24 円(+0.15%)と上値は限定的で、50 日移動平均線 161.75 が現値のほぼ真下に張り付く。上は追随買いが入りにくく、下は 50DMA を割ると積み上がった円ショートの解消で 160.65 まで下落が加速しやすい。平時の 161〜162 円レンジと、弱い NFP 時の下方ブレークを分けて考える必要がある。
上を抑えるのは財務省の実弾介入(4/28〜5/27 の ¥11.7 兆は月次過去最大規模)、下を支えるのは 268bp の日米 2 年金利差から生まれる月 0.36 円のキャリー収益だ。来週は投機フローが減速しており(CFTC 円ショート縮小 +4.0K)、価格を保つのは既存キャリーのロール慣性と推論される(実需の半減は 2 週分データで確度が低い)。
来週(W27)の点火条件は 7/2(木)21:30 JST の米雇用統計(NFP)一点に絞られる。コンセンサス +130K 前後ならレンジ慣性が続く。+100K 以下・失業率 4.4% 以上なら 7 月 FOMC の利上げ織り込みが後退しやすく、CFTC 円ショート(52 週レンジ内位置 1.4%、順位では直近 52 週で 2 番目に大きいネットショート)の解消で 160.65〜159.45 を試す経路が開きやすい。Hold 到達確率の水準は事前に固定しない。
| USDJPY | 161.69 | +0.25% | +1.46% | +3.37% |
| EURUSD | 1.14 | -0.60% | -2.22% | -3.04% |
| DXY | 101.36 | +0.51% | +2.48% | +3.13% |
| GBPUSD | 1.32 | -0.03% | -1.89% | -2.00% |
| EURJPY | 184.15 | -0.36% | -0.80% | +0.22% |
| AUDJPY | 111.58 | -1.35% | -2.48% | +6.55% |
GBP -0.03%・CAD -0.07%・JPY -0.25%・EUR -0.60%・SEK -1.54%・AUD -1.65%・CHF -2.04%。週の主役は欧州通貨の弱さで、円は対ドルで GBP・CAD に次ぐ底堅さを見せた。「ドル全面高」ではなく「ドル対欧州通貨高」が今週の実態だ。DXY は幾何加重指数のため厳密な寄与は対数リターン分解だが、一次近似では EUR・CHF・SEK の欧州 3 通貨で約 91.7%、JPY は約 6.4% にとどまる(材料③)。
クロス円の変動は「円高」ではなく「他通貨の対ドル安 + 円安」の合成であることを恒等式で確認する。
| クロス通貨 | 恒等式(概算) | 実測 | 差分 |
|---|---|---|---|
| EUR/JPY | EUR/USD(-0.60%) + USD/JPY(+0.25%) = -0.35% | -0.36% | -0.01% |
| AUD/JPY | AUD/USD(-1.65%) + USD/JPY(+0.25%) = -1.40% | -1.35% | +0.05% |
AUD/JPY の -1.35% 下落は「円買い」でなく、AUD/USD の -1.65% 下落が主因。EUR/JPY -0.36% も同様。クロス円売りを「円高」と読んで USD/JPY ショートを組むのは誤解の元だ。
先週(W25)に固まった中銀決定が W26 全体の FX 基調を規定している。BOJ は 6/16 に +25bp で政策金利を 1.00% へ引き上げ(1995 年 9 月以来 31 年ぶりの高水準)、FOMC は 6/17 に 3.50〜3.75% の据え置きを全員一致で決定(ドットプロット中央値 3.8%、18 名中 9 名が年内追加利上げを想定)、ECB は 6/11 に +25bp で預金ファシリティを 2.25% へ(8 回連続利下げから反転)、BOE は 6/17〜18 にタカ派票 2 名(Greene・Pill)で 3.75% 据え置きを決定した。来週(W27)に追加の中銀会合はなく、BOJ の次の決定は 7/30〜31 だ。
6/25 の米コア PCE(5 月)は前年比 +3.4% と 2023 年 10 月以来の最高水準を記録した。それでも米 10Y 金利は週間で -7bp(4.39% 着地)と低下し、週内の DXY ピーク(6/24 の 101.61)から終値(101.36)にかけてドル買いは失速した。CFTC 円ショートも前週比 +4.0K と縮小(Legacy 非商業 6/23 週: -146.1K)している。来週に持ち越した未解決の論点は 3 点だ。(1) 市場意識水準 162.00 までの距離が +0.15% まで縮小していること。(2) CFTC 円ショートの 52 週レンジ内位置が 1.4% という過密度。(3) MOF の 5/28〜6/26 月次介入実績が 6/30 公表予定で「天井 162 の硬さ」の前提がまだ未確認であること。
系列: USD/JPY 日次終値(2026-06-18〜06-26、Investing.com 確定値)(単位: 円)。期間: 06/18〜06/26。開始: 161.289、終了: 161.76、最小: 161.289、最大: 161.805。傾向: 上昇。
| 日付 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 06/18 | 161.289 | 円 |
| 06/22 | 161.57 | 円 |
| 06/23 | 161.599 | 円 |
| 06/24 | 161.763 | 円 |
| 06/25 | 161.805 | 円 |
| 06/26 | 161.76 | 円 |
USD/JPY は 6/18(木)161.289 から 6/24(水)161.763 まで 4 日連続上昇した後、週末 6/26(金)161.76 とほぼ横ばいで終えた。週高値 6/25 の 161.805 を起点に 162.00 まで残り +0.195 円、6/26 終値 161.76 を起点にすると +0.24 円(+0.15%)の距離だ。上値圧力は週を通じて継続したが 162 の手前で頭を抑えられており、介入意識の強さを映している。
来週のドル円を動かす材料は (1) 金融政策(FRB / 日銀)、(2) 本邦当局の介入リスク、(3) クロス通貨動向 の 3 点だ。来週時点の中銀タカ度序列(強い順)は FRB > BOE = 日銀 > ECB > RBA だ。FRB はドットプロット中央値 3.8% で年内追加利上げを織り込む。BOE はタカ派票が 2 名に増えており 3.75% 据え置きだが引き締め姿勢を保つ。日銀は 31 年ぶり 1.00% で JGB 2Y 利回り 1.41% が年末 1.25〜1.50% の追加利上げを織り込む(BOE と政策金利水準は差があるが今後 1 年の追加利上げペースで拮抗する構図)。ECB は 8 回ぶり利上げ反転だが追加コミットは「データ依存」にとどめ、2026 年ユーロ圏成長率を 0.8% へ下方修正した。RBA は来週イベントなし。
現在の市場の織り込みは、CME FedWatch 7/29 FOMC = Hold 69.0% / +25bp 31.0%(Investing.com、2026-06-28 取得)だ。NFP のコンセンサスは +130K(Capital Economics 2026-06-28 確認)、失業率 4.3% 維持。発表は 7/2(木)21:30 JST(米独立記念日観測日 7/3 の前倒し)で、翌 7/3 は NYSE・CME が全市場休場となり流動性が薄い。
本当の焦点は NFP の数字そのものより「7/29 利上げ確率が 50% 近傍へ動くか」だ。非対称の主因は FedWatch の現在位置とポジション構造にある。FedWatch は Hold 69% / +25bp 31% というスタート地点から、上振れで利上げ確率が 50% 近傍に達するには約 19pt、下振れで Hold がさらに高まるにはより小さな変動で足りる、という出発点の非対称はある。加えて CFTC 円ショートは 52 週レンジ内位置 1.4% と積み増し余地がほぼゼロで、ポジション需給の反応も円高方向に非対称だ。6 月コンセンサスが +130K と 5 月実績 +172K から既に下方修正済みであることも、上振れの驚き幅を相対的に小さくする方向に働く。
| 調査週(火曜) | Legacy 非商業ネット | 前週差 |
|---|---|---|
| 2026-06-23 | -146.1K | +4.0K(円ショート縮小) |
| 2026-06-16 | -150.1K | — |
| 2026-06-09 | -145.8K | — |
| 2026-06-02 | -129.6K | — |
52 週高値(最も円ロング): +144.6K(2025-06-10)
52 週安値(最も円ショート): -150.1K(2026-06-16)
現在: -146.1K
レンジ内位置(min-max 正規化。パーセンタイルではない):
(-146.1 - (-150.1)) / (144.6 - (-150.1)) × 100
= 4.0 / 294.7 × 100
= 1.4%(52 週を通じてこれ以上の円ショートがあったのは 2026-06-16 の 1 週のみ)
出典: CFTC TFF レポート(総計 -175,456 契約: LF -97,092 / AM -78,364)
Legacy 非商業との体系の違い: TFF は運用形態別(LF=レバレッジファンド / AM=アセットマネジャー)に細分し総計が大きく異なる。52 週レンジ内位置 1.4% の計算は Legacy 非商業ベースで行った。順位では直近 52 週で 2 番目に大きいネット円ショート。
| シナリオ | NFP 値 | 失業率 | FedWatch 変化 | USD/JPY 想定 |
|---|---|---|---|---|
| ベース | +110〜140K | 4.3% 維持 | Hold 69% 近辺で不変 | 161.0〜162.0 でレンジ慣性継続 |
| 上振れ | +150〜160K 超 | 低下 | 利上げ織り込み上昇 | 161.95→162.00 を試しやすい。市場の介入警戒が上値を抑えやすい。上抜ければ 163 試し |
| 下振れ | +100K 以下 または 4.4% 以上 | 上昇 | 利上げ織り込み後退 | 過密ショート解消で 160.65→159.45 を試しやすい。7/3 薄商いで下げ増幅 |
下振れシナリオの因果連鎖は 5 段だ。
NFP ≤100K または失業率 4.4% 以上(7/2 21:30 JST 発表)→ 7 月 FOMC の利上げ織り込みが後退しやすい → 米 2Y 金利低下 → USD/JPY 下落初速(ドル安が主導しやすい)→ 過密ショート(52 週レンジ内位置 1.4%)の解消で 160.65→159.45 を試しやすい(7/3 薄商いで連鎖増幅、4 月末ショートの損益分岐点 160.65 を割れると加速)。到達確率の水準は事前に固定しない
起点 A: 161.76(Investing.com 確定値 6/26 NY close)
起点 B: 161.685(統合 SSOT、Yahoo Finance API)
どちらの起点でも上値余地は 0.15〜0.19% に過ぎず、結論は変わらない。
戻り売り R:R(起点 161.76・stop 162.20):
RSI(14) は 53.1(中立)、50DMA との乖離 +0.006%。テクニカルサマリーは Strong Buy だが、過熱は価格でなくポジションにある。
USD/JPY のテクニカルポジションは Strong Buy(RSI 53.1・50DMA 上・200DMA 上)で見かけ上の継続を示すが、価格の上昇(6/18〜6/26: +0.25%)と CFTC 円ショートの縮小(+4.0K)が同週に並存した事実は、価格を動かした限界の買い手が投機先物でなかったことを示唆する(ただし CFTC の調査週は火→火のラグがあり、週内の価格変動とは完全には対応しない)。
USD/JPY の継続は新規フローでなく既存キャリーのロール慣性が残差として支えていると推論される。テクニカル Strong Buy は価格の過熱がないことを意味するにすぎず、ポジションの過熱(52 週レンジ内位置 1.4%)は NFP 下振れという単一イベントで一気に逆回転しやすい構造だ。
MOF の 4/28〜5/27 月次介入実績は ¥11.7 兆で月次として過去最大規模だった。5/28〜6/26 の実績は 6/30(火)公表予定で、本稿執筆時点(2026-06-28)では未発表だ。市場が意識しやすい節目は USD/JPY 162.00(OANDA MarketPulse の観測水準。財務省が公開発動条件を示したわけではない)で、片山財務大臣は 6/19 に「断固たる措置を取る」とけん制した。6/22 のベッセント米財務長官との協議をめぐる報道は一次本文を確認できておらず、本稿では詳細引用しない。
出典: 片山大臣発言は公開報道ベース。6/22 米財務長官協議の詳細報道は一次本文未確認のため主張の根拠からは外す。
6/30 公表の焦点は、5/28〜6/26 に追加介入が含まれるかどうかだ。¥0 なら「162 まで当局は動いていない」と読まれ、162 直下での戻り売りが機能する確認となる(円安寄りシナリオ)。追加介入があれば「160 台でも動いた」警戒が浮上し、上値が一段重くなる(円高寄りシナリオ)。
MOF 4/28〜5/27 介入額: ¥11.7 兆
CFTC TFF 総ネット短期円売り: -175,456 契約 × 円建て換算 ≒ ¥2.19 兆(1 契約 = ¥12,500,000)
介入フローと CFTC 残高は比較単位が違う(約1か月のフロー vs 一時点の米先物ネット)。倍率は意味を持たない。確認できるのは、大規模介入後も金利差が残り円安へ回帰したことまで
日米 2Y 金利差: 4.09% - 1.41% = 268bp
月次キャリー: 268bp / 12 = 22.3bp / 月 × 161.7 ≒ 0.36 円 / 月
月次インセンティブ 0.36 円を消すには、MOF が前月(¥11.7 兆)を大幅に上回る規模の介入を継続する必要がある。2026 年 4 月末以降の円安回帰パターンは carry 慣性が単発介入を上回ることを実証しており、構造的な誘因は消えていない。
| シナリオ | MOF 5/28〜6/26 実績 | Q2 リバランス規模 | USD/JPY 想定 |
|---|---|---|---|
| ベース | ¥0 近辺、標準的リバランス | 標準 | 四半期末ドル売りで一時的に数十 pips 押し、carry 慣性で吸収。161.0〜162.0 維持 |
| 円安寄り | ¥0 確認、リバランス限定 | 小 | 「162 まで動かない」確認で 161.5〜162.0 の底堅さ維持、上値余地と読まれる |
| 円高寄り | 追加介入確認、リバランス大 | 大 | 「160 台でも動いた」警戒で 161.0 割れ〜160 台試し。NFP 弱の前哨戦へ |
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 米 2Y 国債利回り(2026-06-26) | 4.09% | Fed H.15 |
| JGB 2Y 利回り(2026-06-26) | 1.41% | Trading Economics |
| 金利差 | 268bp | 上記の差 |
| 月次換算 | 22.3bp | 268 / 12 |
| 円建てキャリー月収益 | 0.36 円 | 22.3bp × 161.7 / 10,000 ≒ 0.36 |
参考: 10Y 金利差は 4.39% - 1.41% = 298bp(どちらの定義でも 200bp 超で結論は変わらない)
低金利通貨(円)を借り、高金利通貨(ドル)で運用してその金利差を収益にする戦略。ドルの金利が円より 268bp 高い場合、ドルで運用して円で借りているポジションは年率換算で約 2.68% のキャリー収益を生む。
金利差が縮まると(円金利上昇またはドル金利低下)、キャリー収益が縮小してポジション解消の誘因が生じる。これを「キャリー巻き戻し」と呼ぶ。NFP 下振れで FOMC の追加利上げ期待が剥落すれば米 2Y 金利が低下し、268bp の差が縮小してキャリー巻き戻しのトリガーになる。
今週の DXY +0.51% を 6 通貨に加重分解すると、EUR・CHF・SEK の欧州 3 通貨ブロックが寄与の 91.7% を占める。JPY の寄与は 6.4%(+0.034pp)に過ぎない。来週 USD/JPY の継続を取りに行くなら、介入天井の制約のない EUR/USD ショートの方が根拠が通りやすい。
EUR 単独で DXY 上昇分の 65.5% を占め、CHF と SEK を加えた欧州 3 通貨ブロックで 91.7% に達する。CHF+SEK 単独(+0.138pp)は JPY+GBP+CAD 合計(+0.044pp)の 3.1 倍だ。EUR/JPY -0.36% や AUD/JPY -1.35% という「クロス円下落」は円高ではない。恒等式(EUR/JPY ≈ EUR/USD + USD/JPY)が示す通り、EUR の対ドル下落(-0.60%)と AUD の対ドル下落(-1.65%)が主因で、円はむしろ対ドルで底堅い(先週振り返り内のクロス円恒等式 Detail 参照)。
| 通貨 | DXY ウェイト | 対ドル週次 % | 寄与(pp) | シェア |
|---|---|---|---|---|
| EUR | 57.6% | -0.60% | +0.346pp | 65.5% |
| CHF | 3.6% | -2.04%(USD/CHF +2.04%) | +0.073pp | 13.9% |
| SEK | 4.2% | -1.54%(USD/SEK +1.54%) | +0.065pp | 12.3% |
| JPY | 13.6% | -0.25%(USD/JPY +0.25%) | +0.034pp | 6.4% |
| CAD | 9.1% | -0.07%(USD/CAD +0.07%) | +0.006pp | 1.2% |
| GBP | 11.9% | -0.03%(GBP/USD -0.03%) | +0.004pp | 0.7% |
| 合計(線形近似) | — | — | +0.528pp ≈ 実測 +0.51%(誤差 +0.018pp、正規化丸め) | 100% |
欧州 3 通貨(EUR+CHF+SEK)= 91.7%
CHF+SEK 単独(+0.138pp)は JPY+GBP+CAD 合計(+0.044pp)の 3.1 倍
出典: EUR/USD = Yahoo Finance API、USD/CHF = Fed H.10 P37、USD/SEK = Investing.com、USD/CAD = Fed H.10 P37
注: DXY は幾何加重指数のため、ウェイト×単純騰落率の合計は一次近似であり恒等式ではない。厳密には対数リターン分解が必要。CHF・SEK の大幅安には SNB / Riksbank 固有要因が混じる可能性があり、DXY の欧州集中が来週も続くかは独立した検討が必要だ。
来週の EUR 焦点は 7/1(水)18:00 JST のユーロ圏 HICP 6 月フラッシュだ。コンセンサスは前年比 3.1%(5 月 3.2% から -0.1pt、Trading Economics 2026-06-28 集計)。同日 23:00 JST には ISM 製造業 PMI(コンセンサス 53.0 前後、前回 54.0)が控え NFP の前哨となる。
| シナリオ | HICP 値 | EUR/USD 想定 | DXY 経由で USD/JPY |
|---|---|---|---|
| ベース | 3.1% | 1.130〜1.140 で下値模索(週次 -0.60% 慣性) | EUR 寄与 65.5% が継続。ドル脚温存で USD/JPY 上値も重い |
| 上振れ | 3.2% 以上で粘る | ECB 追加利上げ観測温存。1.140 を回復 | DXY の EUR 寄与縮小。USD/JPY の借り物上昇が一部剥落 |
| 下振れ(EUR ショート続伸) | 3.0% 以下 | 1.130 を明確に割れ。YTD -3% 超の継続 | DXY 下支えでドル脚温存。USD/JPY 161.5〜162.0 で底堅さ |
DXY(ICE US Dollar Index)は 6 通貨で構成され、各ウェイトは固定だ(ICE が管理し定期改定は稀)。
| 通貨 | ウェイト |
|---|---|
| EUR(ユーロ) | 57.6% |
| JPY(円) | 13.6% |
| GBP(ポンド) | 11.9% |
| CAD(カナダドル) | 9.1% |
| SEK(スウェーデンクローナ) | 4.2% |
| CHF(スイスフラン) | 3.6% |
EUR 単独で過半数を超えるため、DXY は実質的に「ユーロ対ドル」の代理指標として機能する。JPY のウェイトは 13.6% に過ぎず、USD/JPY だけを見て「ドル全面高」と判断するのは誤りが多い。
今週の円の値動きを担い手別に 3 層で分解する。
| ルート | 担い手 | 今週の動き | 来週の触媒 |
|---|---|---|---|
| 投機(先物) | CFTC LF 55.3% + AM 44.7%(TFF 割合) | ショート縮小 +4.0K。52 週レンジ内位置 1.4%(過密) | NFP 7/2 で点火。過密ゆえ円高方向に非対称 |
| 実需(対外投資) | 生保・年金・銀行 | 対外債券買越 ¥3,826 億→¥1,997 億(-47.8%、直近 2 週データで確度低い) | 6/30 四半期末 Q2 リバランスで再ヘッジのドル売り |
| 政策(介入) | MOF / 日銀 | 4/28〜5/27: ¥11.7 兆(約1か月の介入フロー。CFTC 一時点残高との倍率比較は不可) | 6/30 に 5/28〜6/26 実績公表。162.00 は市場意識水準 |
今週は投機・実需の 2 ルートが減速し、政策ルートは待機状態だった。価格を支えたのはどのルートの新規フローでもなく、既存キャリーのロール慣性(残差)と推論される(実弾フローは週次非公表で確定はできない)。来週は 3 ルートが同一週に交差する稀な配置になる(NFP 7/2・リバランス+MOF 公表 6/30・HICP 7/1)。7/3 の米市場休場でオーバーシュートが増幅されやすい点も加わる。
USD/JPY は「価格が中立、ポジションが極端」という非対称な状態にある。RSI 53.1・50DMA 上・テクニカル Strong Buy は「継続強気」を示すが、CFTC 52 週レンジ内位置 1.4% は「反転燃料が満タン」を示す。どちらが勝つかは 7/2 NFP 一点に依存する。
USD/JPY 確定スポット 161.76 は 2024 年 7 月高値 161.95 の -0.12% だ。上抜けると 1986 年以来の水準に突入する。2024 年との構造的な違いは、BOJ がすでに 1.00%(31 年ぶり高水準)まで引き上げており、市場が年末 1.25〜1.50% の追加利上げを織り込んでいる点だ。円安の主因が「日銀の緩和継続」から「FRB の高止まり」へ移行しており、BOJ が追加利上げを実施するたびに 268bp の金利差が縮小する構造変化の芽がある。MOF の今回の介入規模(¥11.7 兆)は月次として過去最大だが、それでも円安回帰したのは「キャリーの踏み車が止まっていない」ことを意味する。
共通点:
2026 年固有の変化:
注: 2022 年・2024 年の具体的な介入額は本稿研究ブリーフに含まれないため、上記比較は構造的な記述にとどめる。
「下方非対称」という本稿の立場には、以下の反証がある。
来週の戻り売り戦略を取るなら: 161.76 起点・stop 162.20 で target 160.65(R:R 1:2.5)または 159.45(R:R 1:5.3)。NFP 上振れで 162 を突破した場合は、MOF 介入によるスパイク高値(163 近辺)が新たな戻り売り起点になりうる。7/3 の薄商いは方向が出た後の動きを増幅させる。USD/JPY の継続ロングより EUR/USD ショートの方が介入天井制約なしで DXY の主役通貨を直接取りに行ける。
USD/JPY
| 水準 | 根拠 | 方向感 |
|---|---|---|
| 163.00 | 上抜け後の目標節目 | 上値 |
| 162.20 | 戻り売り stop 目安 | 上値 |
| 162.00 | 市場が意識する介入警戒水準(OANDA MarketPulse。公式トリガーではない) | 上値 |
| 161.95 | 2024 年 7 月高値 | 上値 |
| 161.76 / 161.685 | 6/26 終値(Investing.com / Yahoo Finance) | 現在 |
| 161.75 | 50DMA | 下値 |
| 161.32 | 200DMA | 下値 |
| 161.00 | 心理節目 | 下値 |
| 160.65 | 4/30 高値(サポート転換)/ 戻り売り target 1 | 下値 |
| 159.45 | 戻り売り target 2 / 直近安値群 | 下値 |
| 159.10 | 直近安値群 | 下値 |
EUR/USD
| 水準 | 根拠 | 方向感 |
|---|---|---|
| 1.1459 | 6/18 週内高値 | 上値 |
| 1.1400 | 直近抵抗 | 上値 |
| 1.1390 | 6/26 終値 | 現在 |
| 1.1354 | 6/24 週内安値 | 下値 |
| 1.1300 | 心理節目 | 下値 |
| 日付(曜) | イベント | 時刻(JST) | 市場予想 / 焦点 |
|---|---|---|---|
| 6/30(火) | MOF 月次為替介入実績(5/28〜6/26)公表 | 朝〜午前(推定) | ¥0 か追加か。天井 162 の硬さの前提検証 |
| 6/30(火) | Q2 四半期末 FX ヘッジリバランス | 終日 | 機関の対外ヘッジドル売り(一時的に円買い) |
| 7/1(水) | ユーロ圏 HICP 6 月フラッシュ | 18:00 | 前年比 3.1%(5 月 3.2%)。EUR/USD 経由で DXY に波及 |
| 7/1(水) | ISM 製造業 PMI(6 月) | 23:00 | 約 53.0(前回 54.0)。NFP の前哨戦 |
| 7/2(木) | 米雇用統計 NFP(6 月) | 21:30 | NFP +130K(前回 +172K)/ 失業率 4.3%。CME 7/29 Hold 69.0% を動かす最大イベント |
| 7/3(金) | 米市場休場(独立記念日観測日) | — | NYSE・CME 全休場。FX 流動性が著しく薄い |
| 7/23(W30) | 次回 ECB 理事会 | — | W27 外。9 月追加利上げ確率 ~50% |
| 7/28〜29(W31) | 次回 FOMC | — | W27 外。CME 7/29 Hold 69.0% / +25bp 31.0% |
| 7/30〜31(W31) | 次回 BOJ MPM | — | W27 外。次回利上げは 10 月有力、年末 1.25〜1.50% 中心予想 |
各通貨の対ドル週次変化率(2026-06-22〜26、マイナス=ドルに対して下落)
DXY +0.51% の通貨別加重寄与(2026-06-22〜26)