今週の市況: 紙が先に和平を織り込んだが現物の配管は不変だった週(2026-W24)
6/11〜12 の米イラン和平報道が原油 -6.25%・米 10 年金利 -8bp・SOXX +10.46%・BTC ETF 7 日連続流出ストップを 2 日間に集約させた。だがホルムズ 106 日閉鎖・米原油在庫 7 週連続減・介入後 6 週で円全戻し・機関 BTC 保有 13F -16.6% と現物配管は不変のまま。来週は日銀議長空白下の利上げと FOMC 新議長初会見が同週に重なる。
6/11〜12 の米イラン和平報道が原油 -6.25%・米 10 年金利 -8bp・SOXX +10.46%・BTC ETF 7 日連続流出ストップを 2 日間に集約させた。だがホルムズ 106 日閉鎖・米原油在庫 7 週連続減・介入後 6 週で円全戻し・機関 BTC 保有 13F -16.6% と現物配管は不変のまま。来週は日銀議長空白下の利上げと FOMC 新議長初会見が同週に重なる。
6/11〜12 の米イラン和平報道が、原油 -6.25%・米 10 年金利 -8bp・SOXX +10.46%・BTC ETF 7 日連続流出ストップという 4 アセット同時発火を 2 日間に集約させた。だがホルムズは 106 日目の閉鎖継続、米原油在庫は 7 週連続減、USD/JPY は介入後 6 週で 160.207 に全戻し、機関の BTC 現物保有は 13F ベースで -16.6% と、現物の配管は何ひとつ動いていない。紙(先物・ETF フロー・利上げ確率)が先行し、現物は不変という 2 層構造が 4 アセット全体を貫いた週だった。
VIX は 6/9(火)日中に週中ピーク 23.34 まで達していた。翌 6/10 の米 CPI +4.2%(2023 年 4 月以来の高水準)発表後も S&P 500 が -1.62%、VIX は 22.22 と高水準を維持した。そこへ 6/11〜12 の米イラン 14 項目草案合意報道が市場を急反転させた。「原油バルブが閉じる → エネルギー主導インフレが剥落する → 割引率低下」という連鎖を市場が想定し、2 日間で 4 アセットに同時発火した。この連鎖は相関ベースの観察であり、各ステップを因果として断言できる中間系列は取得されていない。CME の年末利上げ確率は NFP 後ピーク約 70% から 6/12 時点 43% へ -27pp 崩落した。それでも 2Y-10Y 金利スプレッドは +41bp→+39bp と週内 -2bp のほぼ不変。織り込み表示器は大きく動いたが、債券本体の構造は動かなかった。
| SPX | 7,431.46 | +0.65% | — | +8.56% |
| NDX | 29,635.95 | +2.34% | — | +16.39% |
| SOXX | 596.25 | +10.46% | — | +98.11% |
| N225 | 66,020.04 | -0.85% | — | +31.15% |
| USDJPY | 160.21 | -0.03% | — | +2.22% |
| EURUSD | 1.16 | +0.30% | — | -1.45% |
| DXY | 99.75 | -0.32% | — | +1.82% |
| WTI | 84.88 | -6.25% | — | +48.20% |
| XAU | 4,238.80 | -2.27% | — | -2.00% |
| HG | 6.45 | +2.90% | — | +14.50% |
| BTC | 63,554.96 | +0.53% | — | -28.30% |
| ETH | 1,664.82 | -1.27% | — | -44.52% |
WTI が週次 -6.25% と最大の下落を示す一方、SOXX は +10.46% と株式内でも突出した動き。BTC +0.53%・ETH -1.27%・SOL +7.37% と銘柄間で方向が分かれたのは、「地政学緩和のリスクオン」で括れない暗号市場内の資金移動が SOL を選び ETH を外した結果だ。

系列: WTI 原油 週次終値(2026-06-08 / 2026-06-12)(単位: USD/bbl)。期間: 2026-06-08〜2026-06-12。開始: 90.54、終了: 84.88、最小: 84.88、最大: 90.54。傾向: 下落。
| 日付 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 2026-06-08 | 90.54 | USD/bbl |
| 2026-06-12 | 84.88 | USD/bbl |
週次の絶対下落は -$5.66(-6.25%)。ただし WTI の年初来は +48.2%(年初 $57.26)であり、今週の急落 -$5.66 は、年初 $57.26 から今週終値 $84.88 まで +48.2% 積み上げた上昇幅の 20.5% の戻りだ。
米 CPI 5 月(6/10): 前年比 +4.2%(2023 年 4 月以来の高水準)、コア前月比 +0.2%(予想 +0.3% 下振れ)。コア下振れは唯一のポジティブサプライズだったが、発表直後に S&P 500 が -1.62%、VIX が 22.22 まで上昇した(週中ピーク 23.34 は前日 6/9 日中の地政学リスク起因)。ヘッドライン数字がインフレ警戒を再燃させ、翌日の米イラン和平報道と因果が錯綜する同日性で、純粋な CPI 単独の市場反応は分離できない。
米 PPI 5 月(6/11): 前年比 +6.5%(2022 年 11 月以来の高水準)、前月比 +1.1%(予想 +0.7% 上振れ)。川上ステージ 1 コストは前年比 +12.3%(2009 年の算出開始以来の最大)。ただし 10 年金利は PPI 発表後に 4.507% まで一時上昇した後、コア PPI +0.4%(予想 +0.5% 下振れ)の確認で反落し、午後の和平報道と合わせて最終的に 4.45%(前日比 -8bp)で引けた。
過去最大の川上コスト上昇でも長期金利が逆行した理由は、市場がコア・賃金成分のみを「シグナル」として処理し川上・エネルギー成分を「ノイズ」として通さない非対称な弁を持つためだ。この弁の前提は賃金鈍化にある。ECI 賃金 +3.4%(2022Q2 ピーク +5.7% から持続鈍化)、AHE +3.4%(2021 年 8 月以来の最低水準)、実質賃金 -0.8pp と、賃金からサービス価格へ転嫁する二次波及のメカニズムが起動していない。
ECB 6/11 +25bp 全会一致: 預金ファシリティ 2.00%→2.25%、2023 年以来初の利上げ。ラガルド総裁は「中東の戦争によるエネルギー価格上昇が最大の利上げ理由」と動因を会見で名指しした。EUR/USD は 1.155〜1.157 でほぼ凍結し、独 Bund も発表後は反応薄(一次確定値取得不可)だった。9 か月で累計 +75bp の追加利上げがすでに織り込まれていたため、「数値が先行して織り込まれると、ガイダンスが動意源になる」という構図を今週 ECB が実演した。来週の日銀・FOMC はそのパターンの次のテストになる。
BOC 6/10 据え置き(2.25%): 中東紛争とエネルギー価格の高止まりが主因。FRB・BOC が揃ってエネルギーショックを判断の軸に置いている点は、ラガルドの会見発言と構図が重なる。
ミシガン大消費者信頼感 6 月速報(6/13): 48.9(予想 46.0、前回 44.8、+9.2%)。ただし 1978 年の調査開始以来 2 番目に低い水準であり、4 か月ぶりの反発がその低さを覆い隠している。上振れ幅を額面通りに読むと足元のセンチメント回復を過大評価する。
今週確定したのは「市場の期待の後退」ではなく、「中銀の実弾行動の継続」だった。速報は「年末利上げ確率が -27pp 崩落」を見出しにするが、行動の記録としては ECB が 2023 年以来初の利上げを全会一致で実行し、日銀の来週 1% 利上げは 51 人中 49 人のコンセンサスを固めた。FRB は利下げ方針を撤廃して利上げ警戒モードに移行済みだ(4/29 据え置き反対 4 票は 1992 年以来最多)。
行動(実績)は取り消せない過去だが、織り込み(期待)は和平という反事実に賭けた期待値に過ぎない。6 月 FOMC 据え置き確率 97.1% は週内不変のまま、2Y-10Y スプレッドも +41bp→+39bp と -2bp 動いただけで傾きは変わらなかった。ヘッドライン織り込みの崩落と債券本体の構造の不動が同じ週に同居した。
| 中銀 | 現行金利 | 直近動作 | スタンス |
|---|---|---|---|
| FRB | 3.50〜3.75% | 4/29 据え置き(反対 4 票、1992 年以来最多) | 利下げ撤廃・利上げ警戒。6 月 FOMC 据え置き 97.1% 織り込み |
| ECB | 2.25%(預金ファシリティ) | 6/11 +25bp 全会一致 | タカ派転換。ラガルド「エネルギーが最大の理由」 |
| BOJ | 0.75% | 4/28 据え置き後、6/15〜16 会合・6/17 結果発表待ち | 1% への利上げが 51 人中 49 人のコンセンサス |
| BOC | 2.25% | 6/10 据え置き | 中東・エネルギー警戒で中立 |
| BOE | 3.75% | 4 月据え置き(8-1 票) | 来週 6/18 MPC 発表 |
来週(6/16-20)の動意源は金利水準そのものより、政策発信のあり方にある。日銀は改正日銀法施行(1998 年)以来初めて現職総裁が定例会合を欠席し代理議長が運営する。FRB はウォッシュ新議長の初会見が控える。ECB が今週「数値が先に織り込まれるとガイダンスが動意源になる」という構図を実演したばかりで、来週は日銀と FRB がこのパターンを同一週に試される。
| 日時(JST) | 主体 | イベント | コンセンサスとシナリオ分岐 |
|---|---|---|---|
| 6/17(水)11:00 前後 | 日銀 | 政策決定会合 結果(植田総裁欠席・氷見野副総裁代理) | 0.75%→1.00% 利上げが 49/51 のコンセンサス。実現なら 1995 年以来 31 年ぶりの 1%。①利上げ実施 → USD/JPY 155-158 円台・日株続落。②据え置きサプライズ → 160 円台固定化・160.73 突破リスク |
| 6/17(水)21:30 | 米国 | 小売売上高 5 月 | 中東ショック下の家計支出確認。強含み → FRB 利下げ確率低下でリスク資産に下押し圧力 |
| 6/18(木)03:00 | 米 FRB | FOMC + SEP・ドット・プロット | 据え置き 97.1% 織り込み。注目はドットの 2026 年内利上げ票数とインフレ見通し上方修正幅 |
| 6/18(木)03:30 | 米 FRB | ウォッシュ議長 初会見 | タカ派バイアス想定。ECB が実演した「数値が先に織り込まれるとガイダンスが決める」という構図の初テスト |
| 6/18(木)20:00 | 英 BOE | MPC 会合(CPI 5 月は 6/17 発表) | 現行 3.75% 据え置き予想。4 月会合のタカ派 1 名(8-1 票)の動向に注目 |
横串シナリオ分岐(4 アセット同時影響):

NDX +2.34% の週次上昇は地政学起点で、NVDA・AVGO 合算寄与はほぼゼロ。INTC +25.61%・AMAT +25.22%・LRCX +20.94% の二番手半導体 3 銘柄が NDX 週次の大半を稼いだ。
史上最大 11 兆 7,349 億円(約 $730 億)の介入は天井(160.73)を作ったが床は作れず、6 週で 160.207 に全戻しした。火力 vs 金利差の構図で金利差が勝った。
WTI -6.25% は投機ポジション手仕舞い主導で、ホルムズ 106 日閉鎖(通航 -95%)・米在庫 7 週連続減という現物配管は今週も動いていない。
BTC ETF 週計 -$315.96M(前週 -$1.72B から -81.7% 縮小)、6/12 に +$85.85M 流入で 7 日連続流出ストップ。方向は転換したが、週内グロス流出 $401.81M の 21.4% しか相殺できていない初動段階だ。